《MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)》はクリエイターの発掘・育成を目的に、映画製作のきっかけや魅力を届けるために生まれた短編映画制作プロジェクトです。年齢や性別、職業やジャンルに関係なく、メジャーとインディーズが融合した、自由で新しい映画製作に挑戦します。
“変化”をテーマとした36名の監督による短編映画を4シーズンに渡りオムニバス形式で公開。
初監督多数、俳優、漫画家、ミュージシャンらが参加し、一般公募枠の12作品は、419作品の応募から選抜され、Season1には、安藤政信、枝優花、武正晴、花田陵、三吉彩花、山下敦弘、419作品の応募の中から選ばれたクリエイター、西遼太郎、針生悠伺、藤原知之の3名が参加しています。
映画祭の開催ほか、多様な作品を多様な形で国内外に届けていきます。
全国の地域と連携した制作支援や上映会、ワークショップと連動することで、だれでも参加できる参加型プロジェクトを目指します。
武 正晴
足立 紳
友近、渡辺 大知 他
模範囚を演じきり、仮出所できることになった響子。彼女を出迎えたのは、響子の恋人に頼まれた男、友広だ。車に乗り込んだ彼女は、食欲や性欲、あらゆる欲望を開花させる。
『暴れる、女』は、堺が舞台となった映画『嘘八百』の武正晴監督と脚本・足立紳が再びタッグを組んで堺で撮影されました。
『2011年、リーマンショックで映画の仕事がなくなった時に、あいうえお順で最初に出てきた足立さんに「何やってるの?」と連絡したら、「何もしてません」って返事がきたから、その日の夕方に会って。
「最近観た映画で面白かったのは何?」「どんな映画が面白いと思う?」「どんな映画を作りたいか?」という話をしました。仕事は一緒にしていたけど、映画のそういう話をしたのは初めてで。そこから毎日のように会って話しているうちに、「じゃあ自分たちが面白いと思うシナリオを作ろう」という話になって何本か作りました。そのうちの1本が『暴れる、女』です。
僕はずっと男の作品ばっかり撮っていたから、女が主人公の物語を作りたくて。あとは『グロリア』(80)とか『ゲッタウェイ』(72)みたいな活劇が最近の日本映画にはないから、そういうものを作りたかった。』
(武正晴監督『MIRRORLIAR FILMS Season1』オフィシャルインタビューより)
武監督コメント動画
「暴れる、女」メイキング動画
※一部音声や画像に乱れがありますのでご了承下さい。
劇中では、架空の「惣社刑務所」という設定で、友近さん演じる響子が出所し、渡辺さん演じる友広と再会する最初のシーンが撮影されました。重い扉を開く様子が、とても緊張感がありました。友広が乗っている劇用車は、旧型のワゴン車マークⅡ。新聞社が使っている様な商業用ワゴン車という監督のオーダーからこの車となり、撮影用に東京から堺まで運んできました。雨も作品の演出の一部になったかのように、物語が始まる最初に相応しい素敵なシーンになりました。
消防署を刑務所の中にするとは驚きましたが、美術部さんの手にかかれば、畳の一室が女囚部屋へ、そして窓のないコンクリートの壁の一室が面会室へと変化しました。工夫を凝らし、女囚部屋にはトイレまでつくった美術部さん。本当に、この場所で女囚が生活しているような空間になりました。
本社二階工場にあるカーペットの縫製用ミシンをお借りして、受刑中のミシン作業風景とエンドロールシーンを撮影しました。友近さんも村上敷物さんに教えてもらいながら、撮影を行いました。かつては、緞通や織絨毯工業の一大産地だった堺。イギリス伝統のカーペット製造法である「ウィルトン織」を手掛け、熟練した職工がいる日本で数すくない会社です。消防署に続き、スタッフの方からはよく見つけたね!というほど、シーンにぴったりな場所となりました。
阪堺電車大和川駅付近の河川敷で撮影が行われました。まっすぐ広く、静かな河川敷。
車と河川敷がとても画になる場所です。車内のシーンは一部アドリブもあったのだとか。
汚い車内やボンネットの装飾一つ一つにこだわりが詰まっています。
この道だからこそ、最後がとてもゾクゾクワクワクするようなシーンになったのだと思います。快晴のもと、無事にクランクアップを迎えました。
劇中で響子が貪り食べていた大福とおはぎ。堺にある河月堂さんの大福とおはぎが撮影で使用されました。響子のむきだした欲望の一つとして、象徴的に描かれています。